おせち料理

おせち料理とは


おせち料理(御節料理)とは、節日せちにちに神に供える食べ物(神饌)を、御下げしたもののことで『御節供おせちく』と言います。

御節供が略され、「おせち」と呼ばれるようになりました。
元は、中国の節日に行われていた祭事で、季節の変わり目に神へ御供えをしたのが始まりです。
奈良時代頃に日本へ伝わり、朝廷に取り入れられました。

季節の変わり目は、気温や天候の変化が激しく、災いが起こりやすいと考えられていました。
邪気や悪霊を祓い、神に御供えをして、御供えをした神饌を御下げし、皆でいただく直会をすることで、食べ物を通じて、神の力をいただき、五穀豊穣や無病息災を願ったのです。

「節句」の「節」とは、竹や骨などの「ふし」を意味しています。
節目となる日を節句とし、様々な行事を行うようになりました。
節日に天皇が群臣を会集して、饗宴を伴う公式行事を『節会せちえ』といいます。

平安時代は、1月1日(元旦がんたん)、1月7日(白馬あおうま)、1月16日(踏歌とうか)、5月5日(端午たんご)、7月7日(相撲すもう)、9月9日(重陽ちょうよう)、11月24日(豊明)などの節日を祝いました。

江戸時代に、徳川家によって5つの節日が、公式な行事と定められました。
陰陽五行説では、奇数を吉数と考えられていたため、1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七日)、9月9日(重陽)の5つの節日を五節句と呼ぶようになりました。

この時出される料理を『御節料理』と言い、今では元旦に食べる正月料理だけを「おせち」と呼ぶようになりました。

おせち料理の原形と言われているのが、蓬莱飾りです。
蓬莱とは、中国の架空の山である蓬莱山を意味します。仙人が住み、不老長寿、五穀豊穣に恵まれ、この世のあらゆる福徳が備わる理想郷と言われる山です。
この山に見立て、三方にお米、餅、熨斗鮑、搗栗かちぐり(勝ち栗)、伊勢海老、昆布、橙馬尾藻だいだいほんだわら、串柿、ごまめ等を、裏白、譲葉などと一緒に積み重ねるように盛り付けます。
お月見の時に飾られる、ピラミッド状に積み重ねられた団子のように、山形に盛った盛り付け方で、食積くいつみとも言います。

そして「組重」と呼ばれる重箱に詰められた料理が出されました。
重箱は、五段が正式とされ、完全を意味する「三」にさらに、一つ重ねると言う意味の与(四)の段までが並べられました。
五段目の重には、別にふたが付いていて、一の段から与の段に空きができた時、五の段から補充するための予備の料理が入れられました。
また、五段目の重は、何も入れず空にしておく場合もあります。
これは、もっと福が入ってきますように、との願いを込めて、空けておくのです。

次第に、重箱に詰めた料理を「おせち料理」と呼ぶようになり、蓬莱飾りが、鏡餅飾りになったと言われています。

おせち料理に使われる料理は、おめでたい意味を持つ食べ物や、おめでたい語呂合わせで、縁起を担いだ意味を持つ料理が詰められます。

  • かず
    子宝、子孫繁栄をもたらす。
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  • ごまめ
    片口イワシの事で、ごまめを肥料として使った田畑が、大豊作になったことから「五万米」の字があてられ「田作り」とも呼ばれます。五穀豊穣をもたらす。
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  • 黒豆くろまめ
    黒は、魔よけの色とされ、まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせる。無病息災をもたらす。
    叩きごぼう 豊作の時に飛んでくる、黒い瑞鳥を表し、五穀豊穣をもたらす。また、ごぼうは地中深く根をはることから、家内安泰をもたらす。
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  • 昆布こんぶ
    昆布の和名「ひろめ」にかけ、福徳や喜びがひろまる。
    また、夷子女えびすめとも言い、恵比寿にかけ、福を呼ぶ。
    喜ぶという意味。結び昆布は、縁結びに通じ、夫婦円満をもたらす。
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  • 紅白蒲鉾こうはくかまぼこ
    紅白は、めでたさと喜びを表し、半円形の形が、日の出を意味し、めでたさと、門出を祝う意味。
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  • 伊達巻だてまき
    巻物(書物)を意味し、知識や教養が身に付く。
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  • たい
    海上、漁業の神、商売繁盛の神である恵比寿が釣り上げた魚で、めでたい事を意味する。
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  • 菊花蕪きっかかぶ
    菊は、邪気払いと寿命を延ばす意味があり、無病息災を意味する。
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  • 金団きんとん
    黄金色で、金の塊に見えることから、財宝、財産に恵まれ、豊かな生活が送れるという縁起。
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  • ぶり
    成長するにつれ、名前が変わる出世魚だから、出世、繁栄をもたらす。
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  • 海老えび
    目が出ている事から、めでたい(目出たい)に通じ、腰の曲がった老人の姿に見立て、長寿をもたらす。茹でると、紅白になることから、めでたさを意味する。
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  • 慈姑くわい
    芽が出ることから、めでたいと言う意味。芽が出るようにと言う縁起。
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  • 里芋さといも(がしら)
    親芋の周りに、小芋がたくさん付くから、子宝、子孫繁栄をもたらす。また、小芋が八方に広がってくっついている形から、人の上に立つ立身出世を意味する。
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  • たけのこ
    天を目指してまっすぐに成長する事から、運気上昇をもたらす。
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  • 金時人参金時人参
    赤い色が、夜明けに通じる色だから、めでたさを意味する。
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  • くり(搗栗かちぐり) 
    勝ち栗の語呂合わせから、勝ち運をもたらす。また、やりくりがうまくいくという意味。
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  • 稲穂いなほ
    五穀豊穣を表す。
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  • あわび
    薄く長く延して、乾燥させて作った熨斗鮑から、長く伸びる事を意味し、ご縁の永続の意味。
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  • いくら
    多産の象徴であり、子孫繁栄をもたらす。難を転じるとされる南天に見立てられる。
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  • 伊勢海老いせえび
    殻が武士の鎧を連想させる事から、立身出世をもたらす。
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  • うめ
    春一番に花を咲かせる事から、吉兆を意味する。
    梅干は長寿の象徴とされる。
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  • たこ
    足を広げた形と、八本の足の八の字が末広がりを意味する。
    足が八方に伸びる事から、繁栄をもたらす。
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  • 蓮根れんこん
    たくさんの穴があり、先の見通しがよいという意味。
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  • もち
    丸い形が円満を意味し、もちが金持ち、力持ちに通じ、財産や健康がもたらされる。
    また長持ちにも通じる事から、ご縁が長続きする。もちを搗くところから、ツキがもたらされる。
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  • わらび
    天に手を上げて、物をつかむような姿に見える事から、運をつかみ、招福がもたらされる。

 

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